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駐車禁止除外指定標章改正 報道記事
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山梨日日新聞提供 2007年8月29日付 2面 論説より

駐車禁止除外
障害者の視点で見直しを

 歩行が困難な障害者にとって、利用する場所のすぐ近くまで車を乗り入れ、止めることができれば、どんなに便利だろう。ところが、山梨県では駐車禁止の除外指定が見直され、これまで駐車が認められていた下肢障害者らの一部が、対象から外れることになった。
九月一日からの道交法施行細則改正に伴うものだ。障害の程度は今までと変わらないのに、なぜ、”切り捨て”られるのだろう。

 見直しは、昨年六月の駐車違反取り締まり強化を受け、福祉車両の除外を求める声が続出したのが背景だ。従来は特定車両を対象としていたのを、障害者を送迎するタクシーなども駐車できるよう障害者本人に除外指定の標章を交付する方式に変更。資格・聴覚障害者らにも対象を広げた。

 結構なことだが、問題は下肢や内蔵機能の障害は逆に対象が狭められて、これまでより生活が制約されかねないことだ。県内では、見直しで対象となる障害者は二千人ほど増え約二万三千人になる一方で、現在標章を交付されている障害者千三百七十三人(三月末現在)のうち約五百人が対象外になる見通しだという。

 対象となる障害や等級は、警察庁が基準を示し、各都道府県公安委員会が決める。
例えば、県内では下肢障害者は従来は障害者手帳の「一−四級」が対象だったが、基準に基づいて両足の重度障害である「一級〜三級の1」に限定。片足の重度障害や両足指の全損(三級の2〜四級)は対象外となった。

 県公安委員会は「従来は実情に応じて自立歩行できる障害者にも交付していた。基準は全国まちまちだったが、警察庁が示した基準に合わせ見直した」とする。
見直し後は、例えば片足を太ももから失った人(三級の2)は対象外だ。松葉杖で歩くことは可能だろうが、所用先の近くに駐車場がない場合の大変さは並大抵ではない。

 他県では、基準を弾力的に運用するところもある。「警察だけでなく福祉部局や医師らと協議し、下肢障害は四級まで歩行困難と認めてきた。基準は変わっても、歩行困難であることは変わらない。それを踏まえて対応しなければ、県民に説明ができない」。兵庫県公安委員会は、見直し後も下肢障害の対象を独自に四級までとする。
今までも下肢障害は六級まで広く対象にしていた宮城県は、それを維持しつつ、医師の意見書添付を条件に認める。

 
 山梨県は従来認められていた人は施行後三年間だけ除外対象とするが、それ以降は資格を失う。県公安委員会は、対象外の障害者には日時や場所を指定した駐車許可を受けるよう呼びかける方針だが、日常的な車使用には現実的ではない。

 公共交通機関が少ない山梨で、下肢障害者にとって車は生活圏を広げる大切な「足」。福祉充実に向けた制度見直しが、障害者の行動を制限し、自立を妨げることにつながるのなら本末転倒だ。横内正明知事は知事選時の公約で「高齢者・障害者のニーズに合ったきめ細かい血の通った福祉実現」えお掲げた。従来の対象者を外さなければ交通が大きく阻害されるならともかく、予算を供わなくてもできる福祉政策だと発想を転換し、再見直しすることはできないだろうか。   (保坂 真吾)

この記事は山梨日日新聞社より承諾を頂いて掲載しております。
無断転載、引用を禁じます。
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山梨日日新聞提供 2007年8月22日付 23面 社会面より

【県内】 駐車禁止自害指定 来月見直し

障害者用の標章 車→個人交付へ

<<写真>>
ドアを手すり代わりに、つえをついて運転席から降りる男性。
駐車禁止除外指定から外れる見通しだ。   =甲斐市内


 山梨県内は九月一日から駐車禁止除外指定が見直され、歩行困難な身体障害者本人に「駐車禁止除外指定標章」を交付する制度がスタートする。
従来は車両に対して交付され、取り締まりの除外対象となっていたが、障害者本人が乗るタクシーや友人の車でも駐車出来るよう配慮。これまで交付されなかった視覚・聴覚障害者らにも対象を広げた。
ただ、比較的軽度とされる足の障害については駐車禁止除外対象から外れる制度改正で、障害者団体からは歓迎と困惑が交錯している。

対象者枠大幅変更 歓迎と困惑交錯

 県警と県公安委員会によると、昨年六月の駐車違反取り締まり強化を受け、福祉車両などを駐車禁止規制から除外するよう求める声が続出。
警察庁が二月に障害等級に基づき交付対象の基準を示し、書く都道府県公安委が道交法施行細則を見直している。

 標章で駐車禁止規則から除外されるのは従来、特定車両だけだったが、改正後は障害者本人が乗る車となる。
交付の対象外だった視覚・聴覚障害や腕に重度のな障害がある人にも認めた。交付対象の障害者は約二千人多い約二万三千人になる。

 県視覚障害者福祉会の吉川日出子事務局長は「病院などに行く際、全盲のため駐車場から長い距離を歩くのが大変だった。標章をもらえれば危険が減る」と喜ぶ。

 一方、下肢障害は両足の重度な障害のみが対象となり、これまで認められていた片足の重度の障害や両足の指の障害などは対象から外れる。比較的軽度な心機能障害なども漏れる。
標章を受けている千三百七十三人(三月末現在)のうち、約五百人が三年後に資格を失うことになる。

 県公安委は「従来は実情に応じて自立歩行が出来る障害者にも支給していたが、全国で基準がまちまちだった。今回、警察庁が示した基準に合わせて見直した」としている。

 これに対し、障害者団体は県公安委などに下肢障害者に従来通りの基準を適用するよう求める要望書を提出。
県身体障害者運転者会の藤井治男事務局長は「公共交通機関が少ない山梨で、車は下肢障害者が自立した生活を送るのに必要な『足』。行動の自由が制限される」と反発する。

 七月から新制度がスタートした兵庫県は、山梨で対象外となった下肢障害者にも除外標章を交付。大阪府、宮城県なども許可している。藤井事務局長は「山梨でも独自の基準を作るべきだ」と訴える。

 県公安委は「基準の変更は検討しない」とし、対象外の障害者には日時や場所などを指定した駐車許可を受けるよう呼びかける方針だ。

対象外れ ”移動の自由制限”
「どう仕事を続ければ」 左官業男性

 甲府市内の左官業男性(六六)は五年前、登山中の滑落事故で脊髄(せきずい)を損傷し、両膝(ひざ)から下を思うように動かすことができなくなった。しかし、今回の制度改正で、駐車禁止除外指定標章交付の対象外になる見通しだ。

 男性は二〇〇二年七月の事故の後、約半年間入院。退院後は現場監督として仕事復帰したが、二年間は車の運転はできず、仕事の関係先へ家族に送迎してもらうなどしていた。

 「周囲に頼らず、自立して仕事をしたい」。男性は家族の付き添いで車の運転や乗り降りを練習し、〇五年には一人で運転できるようになった。同年七月に標章を受けて活用してきた。

 得意先に書類を届けるため目的地近くの路上で数分間、駐車することも多い。「標章のおかげで移動がスムーズ。非常に助かっている」という。

 今もつえなしでは歩けず、歩幅は一歩二十センチ程度と狭い。移動に健常者の二倍以上はかかり。「横断歩道を渡るときはあっという間に車が近づいてくる」と、身の危険を感じることもしばしばだ。
ドアをいっぱいに開いて手すり代わりにしないと運転席に乗り込めないなど、ハンディは大きい。

 男性は今回の制度改正に頭を抱える。「近くに車をとめられるような環境がないと、私のような障害者は普通の人と同じように仕事は出来ない。『足』の自由が制限され、どうやって仕事を続けていけばいいのか」


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