障害者の自動車運転免許取得でも少し触れましたが、国家資格、都道府県資格にはほとんど欠格条項(事項)があります、つまり、病気や障害を理由に資格、免許を与えないと言う法律です。 その主な物に「精神病者、知的障害者、てんかん病者、目が見えないもの、耳が聞こえないもの、口がきけないもの」と、病気や障害がある人をひとくくりにして法令で排除していました。 資格、免許だけではありません、公営住宅法施行令の入居資格では「身体又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする者でその公営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められるものを除く」とあり、重度の障害がある場合、1人での公営住宅の入居申し込みは断られていました。 更に、都道府県や市町村の定める「地方条例」にも公共施設の利用や議会の傍聴などを制限する欠格条項が存在し、ふぐ調理師免許、学校教職員、保育士などその種類と数は膨大です、障害者を法律により危険、無能力とし、権利を奪った上で保護、支援の元に存在する者としてつい最近まで扱われていました。 補助器具の発達や介助者の援助は考慮されてなく、障害名・病名をあげて「免許を与えない」とする条文は法律による差別であり、この条文により人生を左右された障害者がどれほど居るか計り知れません。
欠格条項の理不尽さが知られるようになり、世論が動きます、2001年6月の通常国会で「障害者等に係わる欠格事由の適正化等を図るための医師法等の一部改正する法律案」が成立、2001年7月、厚生労働大臣より直接、ろう者として日本で初めて薬剤師免許を交付されました。 1999年、政府は六三の資格免許制度の見直しに取り組みます、基本的に「目が見えないもの、耳がきこえないもの、精神病者には免許を与えない」のような、障害名、病名をあげて「免許を与えない」とする条文は削除するといったものです。 しかし、欠格条項が全廃されたのは栄養士免許、調理師免許、製菓衛生師免許、検察審査員、医師国家試験・予備試験の受験、歯科医師国家試験・予備試験の受験の6資格制度だけです。 2006年8月現在の欠格条項見直し六三制度 ※別ページで開きます 絶対的欠格の 免許を与えない、取り消すは、取得後欠格、成年被後見人、非保佐人以外無くなりましたが 相対的欠格の 免許を与えないことがある、取り消すことがあると、言葉遊びのように置き換わりました。 法律の欠格条項を省令に格下げしたものとの批判が強くあります、しかし、受験資格さえ認められなかった障害者の取っては大きな一歩でしょう、そして更なる一歩の為に多くの方が欠格条項全廃の運動されています。 海外との比較はあまり好きではありませんが、先進国のほとんどが「差別禁止法」がありますので欠格条項そのものがありません、公営住宅などでは優先的に入居出来ます。 オーストラリアの禁止法では第2項で「ただしその人が障害のために専門職や職業の固有の要求を遂行出来ない場合にはこの限りでは無い」とあります、曖昧に聞こえ欠格条項のようですが、環境改善や補助器具の使用をふまえて要求の遂行が出来るかどうか見なければならない、とされています。 自動車運転免許の条件の「眼鏡等」などのように、補助器具の使用や介助者の援助を考慮し、個別な業務条件を付けた資格があってもいいのでは無いか?運転免許で出来ている訳だからそんなに難しい事では無いように思うのだが。 障害があるとどうしても出来ない事もあります、しかし、障害があるが故に出来ることが多くあるのです、条件を付けることにより資格の門戸を開く事によりどれほど自立への道が開かれるか計り知れません。 失礼かも知れませんが私がもし聴覚障害だとして、病気になり病院へ受診する場合、その医師が手話の出来る自分と同じ聴覚障害者だったらどれほど心強いか・・・実際に琵琶湖病院の聴覚障害外来で聴覚障害を持つ医師「藤田保先生」がいらっしゃいます。 薬剤師の早瀬久美さんや藤田保医師のようにあらゆる業種で有資格の障害者がその障害を生かし活躍出来るはずです、それには欠格条項の全廃、更に欧米を真似た差別禁止法ではなく日本の文化を十分加味した独自の差別禁止法が必要かと・・・。 ![]() 国内の法令・諸制度における障害者欠格条項をなくすことを最終的な目的として活発に活動されています、サイトの関係資料や政府方針文書、会発行の書籍などを参考にさせて頂きました。
|